世界のCNPから

くろるろぐ

ダークレベル:2

四十五分間

夜道をひとりで歩くのが僕の趣味だった。本当は夜道でなくともいいのだが、都会に生きている僕にとって、程よい時間帯というと深夜から早朝くらいしかなかったのだ。 満ちるでもなく欠けるでもなく半端に膨らむ月はまるで僕みたいだった。満たされれば満たさ…

クロルダイジェスト2019

年末だし「総括」とかいうことをしようとしたが、上半期の記憶が完全に吹き飛んでおり何も総括できなかった。 どう頭を捻っても何も出てこなかった。ここ数ヶ月の人生が、それ以前の記憶を曖昧なものとしてしまっていた。 そこで今回はちょっと本腰を入れて…

「本当のところをいうと、僕はこう思うのです」

「じゃあ会社内に本音で話せる相手っている?」 上司からそう聞かれて僕は何も答えられなかった。その上司は弊社内でいうと相対的に僕の最も尊敬している上司で、だからわざわざ飯の誘いを飲んだくらいの相手なのだが、それでも何も答えられなかった。 本音…

卒業の季節

桜の蕾が膨らみ、股間の蕾も膨らむ、春。 卒業の季節だ。 かつて同じ童貞として笑いあったはずの学友どもや後輩どもが、いつのまにか童貞を卒業していく。そしてどういうわけか彼らは、“卒業”を果たすと卒業証書を僕のもとへ見せびらかしにくる。そこに書か…

夜は短し

今更ながら、森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」を読んでいる。読みながら恥ずかしくなってしまうような可愛い可愛い作品だったらどうしようかと思っていたけれど、杞憂だった。 夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: 角川グル…

さて、どちらが「僕」なんだろう

①大きな事故に遭った「僕」。 顔も体もグチャグチャになり、元の容姿は見る影もなく、見た目の時点で完璧に別人となっている。 また事故をきっかけに記憶を失い、今まで学んできたことや得てきたこと、出会ってきた人々のことを全て忘れている。 さらに思想…

話の通じない人型の異形に訳もわからず襲われる

僕はずっと昔から「ホラー」を苦手としている。 大抵のものに好意的な目を向け、大抵のものにサッサと手を出すタイプの僕であるけれど、どうしても「話の通じない人型の異形に訳もわからず襲われる」ようなものが苦手である。 不思議なものだ、と自分でも思…

ちなみにだけど、「永遠と続く」は誤記だよ。「延々と続く」が正解だ。

いつも使っている駅のホームでふと目を上げたらラブホのネオンサインが見えた。僕がすべきだったのはポエムを書くことじゃなくてセックスをすることだったのかもしれない。 僕の知り合いに文学青年がいた。数年前に会ったきり、もう全く会っていない。顔すら…

テーレッテレー!

何もうまくいかなかった日は好きなものを食べるに限る、そんな言説はよく聞くけれども。 ねるねるねるねを買ってきた。 ウマイ! \テーレッテレー!/ なんだか妙に楽しかった。 --- ここのところ感受性が高まってしんどい思いをしている。■■と■■と■■と■■と…

虚無になっていこう

インターネッツにおける「感情が死ぬ」「虚無になる」という言い回しは、基本的にマイナス方面の意味を孕んでいる。要するに「つらすぎて振り切れてしまった」という状態を「死」とか「虚無」とかいう言葉で示すことが多い。 けれども、僕は今日、そんなにネ…