世界のCNPから

くろるろぐ

小説

谷折り線に従って折ると同じ主題の段落が重なる文章

仕事を終えて外へ出ると、足下の地面がじっとり濡れていた。思わず笑った。また雨に打たれずに済んだらしかった。雨雲には、いつも嫌われていた。 電車の中で、ひとり酒盛りをしている男がいた。彼は座席を四人分にわたって占領して、肴を広げ、缶チューハイ…

小説・他人の遺書

朝起きて郵便受けを確かめると、何やら分厚い手紙が届いていた。真っ白な封書には僕の住所と名前だけが書かれており、差出人の署名はなかった。とはいえ、その特徴的な筆跡はよく見慣れたもので、誰から来たものであるか僕にはすぐわかった。僕は妙な胸騒ぎ…

ウェイ大学生ってこういう会話をしていそう(偏見)

はー、マジ調子乗って飲みすぎた。つかこれ何杯目だよ。俺、顔赤くなってね? 大丈夫? あんま顔には出ないんかな。ただ今ね、すっげ眠い。 こんで明日も1限とかマジだりーわ。冷静に考えて必修が1限に集中してんのおかしくね? 出れるわけねーじゃん。実験…

宿題

宿題1. 僕の恋人氏に対する感情と、恋人氏の僕に対する感情について 1-1. 恋人 (読み)コイビト デジタル大辞泉の解説 恋しく思う相手。普通、相思相愛の間柄にいう。「恋人にあう」「恋人ができる」 [用法]恋人・愛人――「恋人」は恋しいと思っている相手で…

先輩が過労死していなかった

以下は小説なので全てフィクションである。 〜〜〜 9月23日は日曜日、世間では三連休の真ん中だったと思う。 しかし僕は前々から言われていた、日曜日と月曜日は出勤してほしいと。今の状況からして、呑気に休んでいる暇はないと。 仕方あるまい、と思った。…

【小説】「豪雨」

「私がなんで怒っているか分かる?」 彼女はアイスコーヒーをスプーンでかき混ぜながら僕の目を覗き込んでいた。彼女が怒っているということにさえ僕は気づいていなかった。彼女はどんなときでも微笑んでいた。 「僕が」、僕はそれだけ言って口を閉じた。僕…