世界のCNPから

くろるろぐ

寄生虫を見にいった

日曜日の昼下がり、寄生虫を見にいった。

 

場所は目黒寄生虫館公益財団法人目黒寄生虫館 )。大通りに面した高級住宅ふうの立派な建物だった。

一階は「寄生虫の多様性」と題した展示で、哺乳類の内臓や魚類の眼球に寄生した虫たちの漬物が並んでいた。二階の展示は「人体に関わる寄生虫」というテーマで、寄生されている生物をウッカリ生で食してしまったヒトに寄生するタイプの寄生虫だとか、汚い土やなんかから直接ヒトに襲いかかってくる寄生虫だとか、の解説をしていた。

さほど広くなく、けれども展示は充実しており、じっくり見ても疲れないというのがよかった。

 

 

それにしても「寄生」というのは面白い在り方だ、と思った。いくつか僕の興味をひいた話を書き留めておく。

 

とある寄生虫は、「寄生世代」と「自由生活世代」という二つの生き方を持っている、というのを見た。そもそも、(簡単にいうと)「寄生虫」とは何かに寄生しないと生きていけない虫のことで、「自由生活性」の虫というのは自力で生きていける虫のことだ(多分)。しかし寄生虫の中でも、状況に応じて寄生して生きたり自由に生きたりするものがあるらしいということである。

ちょうどよい時期にちょうどよい宿主を見つけた個体は、その宿主に寄生しながら生活し生殖し、「寄生世代」の寄生虫となる。一方、適切な宿主に出会えなかった個体は、自然界の中で自ら生活し生殖し、「自由生活世代」の寄生虫となる。という話である。

 

また、寄生虫によっては、自らの生活にとって最適な環境でないかぎり成虫化しないものもあるらしい、というのも見た。そういう寄生虫はひとまず宿主に寄生するものの、幼体のまま動き回っては宿主の体を傷つけるようだ。こういうのがよく人体に被害を及ぼす寄生虫として話題になるものらしい。

 

また、展示の中に、寄生虫とそうでない虫との特徴を比較したものがあった。曰く、寄生虫の尾肢は、自ら泳ぐ必要がないため退化している、そうでない虫の場合は、自ら泳いでいくために筋力のある尾肢となっている、とのこと。また寄生虫には宿主にしがみつくための脚しかないが、そうでない虫には歩くための長くしっかりした脚がある、とのこと。

 

といった感じだ。思いのほか混雑していたため少し居づらかったが、以上のような展示物を読むくらいの余裕はあった。

 

 

 

しかしまあ、どうしてこのあたりが気になったんだろうな。ハハハ。

 

 

捻転胃虫という寄生虫がいた。宿主から吸い上げた血液に満ちて真っ赤に染まった腸管と、対照的に真っ白な卵巣とが、紐状になって絡み合っている……という構造をしていた。いいね、と僕は思わず呟いた。消化器官と生殖器官としかない。食事と生殖としかできない。寄生による生活。依存による一生。いいね。僕は呟いてしまってから、苦しくなって黙った。

宿にされる方からしたら、たまったもんじゃないわけだから。