世界のCNPから

くろるろぐ

酒は飲んでも飲まれるな(n回目)

 

酒を飲む際に気をつけなければならないのは、量ではない。濃度である。

――クロル・ニトロフェン(1994-2018)

 

こないだ別の飲み会では(確かに踊りながらダーツをしてしまったけれども)そんなに酔わなかったので(意識を保ったまま家に帰れた場合は「酔わなかった」と宣言できることになっている)、似たようなペースで飲めば大丈夫だと判断した……それが間違いだった、らしい。

普通にiPhoneを落としても気付かない程度の酔い方をした。

バスを降りた瞬間にポケットを探り、「あ、iPhoneねぇな」と思った。とはいえバスはもう走り出してしまっていたから、僕はそのまま見送るしかなかった。

 

しかし大丈夫! iPhoneには「iPhoneを探す」という機能があり、Apple IDとiPhoneとを紐づけておけばリアルタイムでiPhoneの所在地がわかるのである。

iPhone、iPad、Mac、Apple Watch を探す - Apple サポート 公式サイト

 

確認してみると、iPhoneは近所のバス営業所(兼バス車庫)あたりで止まっているようだった。

それでiPhoneが無事に回収されているものと思い込んだ僕は安心して翌日を待ったのだが、僕は自分の不運レベルを見誤っていた。

どうも車内の変なところに落としたらしく、まだバス内にあったらしい。面白いくらい的確に、iPhoneの現在地はバスの路線図をなぞるような動きで移動していく。

人間に拾われた可能性もあったけれど、バスの動きにあまりにも合致しているので、これはまだバス内にあるんじゃねえか? と思った。

 

営業所の方も、僕が伝えるiPhoneの所在地情報とバスの所在地情報とが重なっていく様子を面白がっているような雰囲気だった。わかる。当事者の僕も面白くなってきたくらいだったからな。

ただ正直、18時まで帰ってこないとなると色々とやりたいことができなくて不便なので(具体的にはバイクのヘッドライト交換とか)、

みたいなことを考えつつもあった。

 

路線図と時刻表とを見比べつつ、バスの現在地情報を確認できるサイトで該当箇所を探してみると、まさにiPhoneと同じ位置を移動していくバスが確認できた。まるで刑事ドラマみたいな活躍だ。

ちょっと楽しそうな僕。

 

ただ実際にバスで追いかけようとしてみたところ、それらしきバスに目の前で逃げられてしまった。やはりパトカーじゃなく自分の足で追うというのは簡単なことじゃないようだ。

 

大人しく18時まで待つか、となった僕は部屋のベッドで村下位タマミツネを倒し(モンスターハンターダブルクロス)、そのままスヤスヤ寝た。

20時まで。

 

…………。

 

こういうところが僕のダメなところだ。

 

 

何も知らない営業所のお兄さんに対して「iPhoneのクロルです」と名乗ってしまったことが本当に悔やまれてならなかった。昼に電話していたときはそれで通じていたので勢いで名乗りあげてしまった。

 

まあとりあえず、「本当は18時までに取りにきてほしいんですけど一応いまも担当者を減らした状態で開いているから回収しにきていいですよ」みたいな感じだったので取りに行ってきた。

 

で、関係者以外立ち入り禁止の場所に間違えて入ったら乗務員らしきおっちゃんに「こっちじゃないねん、この窓口でこのベル鳴らせば担当者が来るねん」と言われた。

なるほど、と思いつつそっとベルを鳴らしたら「優しぃなぁ〜w」と言われ、「こんくらい鳴らさな!」とかなり激しくヂャラヂャラ鳴らされた。

奥から出てきた受付のお姉さんは「なんやうるさいな」みたいな顔をしていたんだけど、その時にはもう乗務員風おっさんがいなくなっていて、まるで僕がガンガン鳴らしたみたいな空気になっていた。

つらかった。

 

というような感じでやっとのことでiPhoneが戻ってきて、そうして今この記事を書いている。

自分のiPhoneを「iPhoneを探す」で追い回したのは面白かったけれど、お陰で今日は一日なかなかハードになってしまったし、知らない誰かに拾われていた可能性もあったし、できればiPhoneは落とさないほうがいいと思った。

 

酒は飲んでも飲まれるな(n回目)