世界のCNPから

くろるろぐ

客観的“精神力の強度”=倫理観の精度×演技力の練度

 

ここのところ僕の人生は、上手く回っている。

 

思えば僕は、何に悩んでいたのだろう。少しだけ見方を変えれば、世界はこんなにも豊かで、輝かしい。ありがたいことに、僕は愛されている。支えてくれようとする人がいる。仕事はまったく順調で、家族との仲も完全に良好。金銭的な不安もほとんどマシになった。すべてが上手くいっている。焦燥に駆られる必要など、何ひとつないのだ。

 

早朝、目を覚まして僕は思わず高笑いをした。笑いだすと止まらなくて、ずっと声を立てて笑っていた。幸せのあまり、涙が滲んだ。何も考えなくて良かったのだ。こんなに簡単なことに、どうして気付かなかったんだろう。

 

陽の光が眩しかったので、カーテンを閉めて布団に潜った。真っ暗で生ぬるい空間が、僕を守るように包んでいた。温度と湿度とが少しずつ上がって、僕はじわじわと苦しくなっていったけれど、朝日に晒されるよりはずっと心地よかった。

 

これから先、僕の人生は自由だ。何をしてもいい。そう思うと嬉しくて、僕はニヤニヤした。何をしようか。何か、大きなことをしてみたい気がした。今までしたことのないような。しようと思ったことすらないような。大きくて華やかで煌びやかで、取り返しのつかないことを。

 

僕の人生は上手く回っている。